はじめに
大学生はバイトをしていると、少なからず一度は「扶養から外れる」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
しかしながら、大学生でこの「扶養から外れる」とはどういうことなのかをきちんと理解していて他人に説明できるという人は正直のところ多くないです。
そこで今回は、大学生がバイトで「扶養から外れる」とは具体的にどういうことなのか、どういう影響があるのかということ、そしてその対策のポイントなどについて分かりやすく説明していきます。
そもそも扶養とは?
まず、扶養という言葉について説明します。
扶養とは、親が子どもや配偶者などの生活を支えることを指します。
具体的には、親が大学生である子どもの生活費や学費を負担している状態を指します。
日本の税制では、親に扶養している子どもがいる場合、親の所得税や住民税が軽減される仕組みがあります。これを「扶養控除」と言います。
扶養控除のメリット
扶養控除にはいくつかのメリットがあります。
例えば、扶養控除が適用されると、親の税金が減ります。
これは、親の収入から一定額が控除され、その分だけ課税される所得が少なくなるためです。これにより、親の経済的負担が軽減されるのです。
扶養の対象
扶養の対象となるのは、一般的には次のような人たちです。
- 配偶者
- 子ども(大学生を含む)
- 両親
親が扶養している子ども(大学生)の場合、子どもがバイトで一定額以上の収入を得ると、扶養控除の対象から外れてしまいます。
これを「扶養から外れる」と言うのです。
では次に、扶養から外れる条件について詳しく見ていきましょう。
扶養から外れる条件
税法上の扶養から外れる条件
税法上の扶養控除を受けるためには、大学生の年間収入が103万円以下である必要があります。
つまり、バイトで得た収入が103万円を超えると、親の扶養控除の対象から外れてしまうということになります。
毎月のバイト収入が8万6千円を超えると、年間収入が103万円を超えてしまうため、扶養から外れることになります。
社会保険の扶養から外れる条件
社会保険の扶養に関しては、年間収入が130万円を超えると扶養から外れることになります。
これによって、健康保険料や年金保険料を自分で支払う必要が出てきます。
毎月のバイト収入が10万8千円を超えると、年間収入が130万円を超えてしまうため、社会保険の扶養から外れることになります。
自分が扶養から外れないためには、月々の収入をしっかりと計算し、年間収入がこれらの基準を超えないようにする必要があります。
では次に、扶養から外れると具体的にどのような影響があるのかを見ていきましょう。
扶養から外れるとどうなるの?
親の税金負担が増える
扶養から外れると、まず親の税金負担が増えます。
具体的には、親が受けていた扶養控除がなくなるため、親の所得税や住民税が増えることになります。これにより、家計に影響を与える可能性があります。
学生本人の税金負担が増える
扶養から外れた場合、学生本人も税金を支払う必要があります。
年収103万円を超えると、学生自身が所得税を支払わなければならなくなります。
また、住民税もかかるようになります。
健康保険料の自己負担
年収130万円を超えると、社会保険の扶養からも外れます。これにより、学生自身が健康保険料や年金保険料を支払う必要が出てきます。
親の健康保険に入っていた場合は、国民健康保険に切り替える必要があり、保険料が発生します。
簡単な例での説明
例えば、年収が140万円の場合、税法上も社会保険上も扶養から外れることになります。
この場合、親の税金負担が増え、学生本人も所得税や住民税、健康保険料を支払うことになります。
これにより、収入が増えた分以上に支出が増える可能性があるため注意が必要です。
では次に、扶養から外れないようにするための収入管理のポイントについて見ていきましょう。
収入管理のポイント
年間収入の計算方法
バイトをする際には、年間収入が扶養の基準を超えないように管理することが重要です。
まず、自分の月々のバイト収入を計算し、それを12倍して年間収入を見積もります。
例えば、毎月の収入が8万円なら、年間収入は8万円×12ヶ月=96万円となり、扶養の範囲内に収まります。
収入を管理するためのコツ
- 月々の収入を把握する: エクセルや家計簿アプリを使って、毎月の収入を記録しましょう。これにより、年間収入がどれくらいになるかを常に把握できます。
- バイト先と相談する: 特に忙しい時期には収入が増えがちです。その際、シフトの調整をバイト先と相談し、収入が一定額を超えないように注意しましょう。
- 臨時収入に注意する: ボーナスや臨時収入も含めて収入を計算することが重要です。これを忘れると、予想外に収入が増え、扶養から外れるリスクが出てきます。
- 収入の見積もりを定期的に見直す: 年の途中で収入の見直しを行い、予定通りに進んでいるかを確認しましょう。予定外の支出や収入があれば、その都度修正していくことが大切です。
ツールを活用する
収入管理には、便利なツールやアプリを活用するのも1つの手です。
例えば、以下のようなツールがあります。
- 家計簿アプリ: Zaimやマネーフォワードなどの家計簿アプリを利用することで、収入と支出を簡単に管理できます。
- エクセルやGoogleスプレッドシート: 自分でフォーマットを作成できるため、収入を自分なりに管理するのに便利です。難しい場合は「家計簿 エクセル テンプレート」と検索すると様々なテンプレートが配布されているので、それらを利用するとよいでしょう。
では次に、扶養から外れることのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
扶養から外れることのメリットとデメリット
メリット
- 経済的自立: 扶養から外れることで、自分自身で収入を管理し、税金や保険料を支払う経験を得ることができます。これにより、将来の経済的な自立に向けた第一歩を踏み出すことができるでしょう。
- 収入の上限がなくなる: 扶養の範囲内で収入を抑える必要がなくなり、より多くのバイトをすることができます。これにより、経済的に余裕を持つことができ、学費や生活費の負担を軽減できます。
デメリット
- 税金の負担増加: 扶養から外れることで、親の税金負担が増え、学生自身も所得税や住民税を支払う必要が出てきます。これにより、手取りの収入が減少する可能性があります。
- 健康保険料の負担: 年収が130万円を超えると、社会保険の扶養からも外れるため、学生自身が健康保険料や年金保険料を支払う必要があります。これにより、収入の一部が保険料として差し引かれることになります。
具体例(学生の年間収入が140万円の場合)
例えば、学生の年間収入が140万円で、勤務先の社会保険に自ら加入した場合、本人(学生)の手取りは約116万円になり、親の税金の負担を合わせた手取りは、親の収入額にもよりますが、約99~109万円になります。
この例では、税金に何万円も取られてしまい、結局手取りが年間収入120万円の時と同じとなってしまっています。
長期的な視点
上の例のように短期的には負担が増えるかもしれませんが、長期的には経済的な自立や収入の増加につながる可能性もあります。バイトを通じて得たスキルや経験は、将来の就職活動にも役立つため、総合的に考える必要があります。
では最後に、これまでのポイントをまとめます。
まとめ
大学生がバイトをして「扶養から外れる」ということは、親の税金負担が増えるだけでなく、学生自身も税金や健康保険料を支払う必要が出てくるため、経済的に大きな影響を及ぼします。
しかし、経済的自立や収入の増加というメリットもあるため、どうしていくかは個人でしっかりと考えていく必要があります。
重要なポイントの再確認
- 扶養とは:親が子どもを経済的に支えること
- 扶養から外れる条件:年収103万円を超える(税法上)、130万円を超える(社会保険上)
- 影響:親と学生本人の税金負担、健康保険料の負担増加
- 収入管理:収入をきちんと計算し、基準を超えないように管理する
アドバイス
家計簿やエクセルなどの便利ツールを使って、バイト収入をしっかり管理し、扶養の基準を超えないように十分注意しましょう。
その上でアルバイトとして働き、いろんな社会経験を積んで、将来のキャリア形成にも役立てていきましょう!